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南米大陸最高峰 アコンカグア 遠征登山

2016/2/4~2/18 南米大陸の最高峰であるアコンカグア6960mに上ってきました。

アコンカグアはアンデス山脈に属し、アルゼンチンにあります。
日本から中東のカタール経由でアルゼンチンに入りました。 フライト時間は30時間くらいです。
アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスから登山口の最寄町であるメンドーサまでまたバスで16時間。
さすが地球の裏側だけあって登山口に辿り着くまでも長いです。

メンドーサではパーミットを取得します。あと荷揚げをチャーターします。
パーミット8400ペソ 荷揚げ220ドルでした。
10万円くらいです。

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1日目
登山はオルコネスレンジャーステーションからスタートします。
レンジャーステーションでチェックインをし、国立公園のルール等、説明を受けます。
オルコネスというところはアルゼンチンの国立公園で、トレッキングの観光客もちらほらいて賑わいがあります。

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オルコネスからでもアコンカグアが見えるのですが、この日は雲が多く残念ながら見えませんでした。
4時間ほど歩くと、本日のキャンプ地コンフルエンシアに到着します。 標高3400mです。

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レンジャー、ドクターが常駐しているので、チェックインをします。
アルゼンチンの季節は夏。気温はちょうど夏の北アルプスの稜線のような感じです。
この日は現地で買ったパスタと、日本から持ってきたぺペロンチーノの素でパスタを作りました。
水は氷河の雪解け水を引いてあり、綺麗な水場があります。

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2日目
高所順応の為、アコンカグア南壁が間近に見えるプラザ フランシアまで往復します。
フランシアまでは片道6時間くらいで、ゆるやかに高度を上げるので順応にはちょうど良く、レンジャーからも行きなさいと言われます。

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見えてからがもの凄く遠いです。
ほとんど平坦みたいな道なのでペースを上げがちですがここでペースを上げると順応にならないので、ゆっくりと歩きます。

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特徴の無い場所ですが、ここがフランシア。4200mくらいです。 南壁が目の前で大迫力。時折小さな雪崩が起きているのが見えます。
ここで順応の為1時間滞在します。

キャンプへ戻る最中、頭痛があり気分も悪かったのですが標高を下げるとたちどころに良くなりました。
夕方、メディカルチェックを受ける事が義務付けられている為、受けました。
sco2(血中酸素濃度)84でした。 ドクターからは問題なしをもらいましたが、個人的に不安なのでベースキャンプに行く前にもう一日ここに滞在する事にしました。

3日目
調子がよければ今日ベースキャンプに上がるのですが、昨日のことが気になったので本日もフランシアへ行きました。
体調は良好。 明日はBCへ上がることを決め、早めに寝ました。

4日目
BCまでは12時間ほどかかるので明るくなったらすぐに出発します。
この時期は20時頃まで明るいので明るくなってから行動しても十分なんです。

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カラカラに乾燥した砂地を延々歩きます。 ローカットシューズなので砂がどんどん入ってきますが気にしていたらきりがないので、無視して歩きます。
水分はたっぷりとります。 途中、渡渉があり靴が水没しましたがすぐに乾きました。

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中間地点で休憩していると、外国人パーティが通りチーズたっぷりのツナサンドをもらいました。
かなりのボリュームだったので、結局このツナサンドと行動食だけでBCまで辿り着きました。

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BCでチェックイン。 荷揚げをお願いした会社のテントへ向かいます。
荷揚げを頼むと、BCでの水、トイレを使用することができます。

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荷揚げしてもらった荷物を合わせるともう一人用テントには納まらないので、外に散らかしてます。 ほぼ雨の心配はないのでこれでも大丈夫です。
BCでの食生活はとても重要なので、有り余る食料を持ってきました。
アルファー米、フリーズドライ、パスタ、ラーメン、パン、クラッカー、チーズ、サラミ、ジャム、りんご、缶詰洋梨、缶詰桃、等々。
その他、行動食やサプリもあります。

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荷物の整理は明日することにして、夜ごはんを作りまったりしていると、燃えるような夕焼けが。

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5日目
朝、水分不足のせいで顔がむくんでいました。
朝食はパンにチーズとジャム。 パンは切って数時間放置しておくと乾燥してラスクになりました。
今日はキャンプ1 プラザ アラスカまで順応の為に空荷で往復します。 C1は4800mくらい。4時間あれば登れます。

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C1で1時間ほど滞在し、BCに戻りました。
夕食はアルファー米とフリーズドライ親子丼。 お湯だけあればおいしい親子丼のできあがり。
日本から遠く離れたところでも全く同じクオリティーです。本当に助かります。
夕方にメディカルチェックを受けました。 sco2値95% かなりGoodです。sco2値は普段平地で生活しているときは98%くらいで、平地で全力疾走しても90%を下回るくらいらしく、病院で90%を下回ると酸素吸入器をつけるらしいです。
去年敗退したときはsco2値65%で激しい頭痛でした。真っ直ぐ歩くことも困難で、トイレの場所もわからないほどでした。

6日目
今日はキャンプ2 ニド コンドレスまで順応と荷揚げをしました。
荷揚げをチャーターしたのはBCまでなので、ハイキャンプへは自分で荷揚げします。
C2の標高は5400m。空の色がだんだんと黒に近い青になります。

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C2の手前あたりから雪が目立ち始めました。 C2でも順応の為に1時間ほど滞在し、荷物をデポします。
食料や燃料、アタック用のグローブ等です。 事前にデポを盗まれたという情報を得ていたので、厳重に石で囲いました。

BCへ戻る途中、頭痛がありましたがBCに戻って腹いっぱいになった頃には消えていました。

7日目
本日はレストディ。一日中読書をしたりしてぼーっとしました。
明日からはキャンプを上げ、アタックに備えます。
夕食にドライフードのカレーを食べました。 これが驚愕するほど美味しくて、もう1食ハイキャンプに持っていくことにしました。

8日目
日が昇ってからスタート。 順調でしたが、シュラフ、テントと水も4L担いでいるので結構重たかった。
靴もローカットシューズから、ダブルブーツに替えました。
今回のブーツは、SCARPA ファントム6000 です。名前の通り、6000m級の高所登山や厳冬期の山で使用するモデルです。
8万円くらいします! 強盗に会ってもこれだけは死守するつもりで持ってきました。笑

C2に到着し、テント設営。強風吹荒れる場所なので、しっかりと設営。
設営だけで息が切れます。

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夕方、雲行きが怪しくなってきました。 普段出ない雲がポツポツ。
しかしその雲のおかげで夕方にとても綺麗に空が焼けました。

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9日目
順応とデポのためにキャンプ ベルリンまで往復します。
2時間ほどですが明日のアタックの為に非常に重要です。

ベルリンには避難小屋があり、泊まる事ができます。
多くの人がここからアタックしますが、私は少しでも標高の低いところに留まり、体力の消耗を抑えるためにニドコンドレスからのアタックにしました。

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ベルリンから少し上がった、6000mくらいの場所にピッケルとアイゼンをデポしました。
C2に戻ると、明日は風が強いとの情報が入ったので明日のアタックは中止にしました。
夜、頭痛がありましたがそこまで酷くはありませんでした。

10日目
アタックを中止したので、この日はC2でレストです。
ニドコンドレスは開けた場所なのでうろうろしました。

ちなみに山でのトイレ事情ですが、BCではトイレがあります。
BCより上ではトイレはもちろん無く、微生物による分解も無いので、汚物は持ち帰る事になります。
小はその辺でしますが、大は袋に入れてBCまで持って帰ります。

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その袋がコレ。 なんとも心もとない!
ちょっと引っ掛けたら破けます。 なので今回はモンベルの携帯トイレを持ってきました。
これはビニール袋にして、付属の粉を振りかけるというもので強力なジッパー付袋も付いてます。 これで臭いも一切もれません。

11日目
いよいよアタック日。興奮で寝つきが悪く、1:00に起きるつもりが起きたら1:55。急いで支度し、2:15に出発。
まだ真っ暗な中、ヘッドライトの明かりを頼りに歩きます。
20分ほど歩いたところでデジカメを忘れた事に気づき、取りに戻りました。

4:00ベルリン。ベルリンから先は下見をしていないので慎重にルートを探して登りました。

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インデペンデンシア小屋で40分ほど休憩。 一応避難小屋ですが屋根はありません。ほぼ崩壊してます。
6300m。山頂まで近づいてきました。
否応にもテンションが上がり、ペース上がってしまいます。 寒さもありあまりゆっくり歩くのも辛い状況でした。

小屋から一登りで難所であるグランカナレーターというトラバースになります。
下からの吹き上げがきつく、太陽は登り始めていますがこちらは影になってかなり寒かったです。
気がつくと手足の末端の感覚がなくなっていました。 靴は、足がむくんでいたのを無理やり履いたので血行が悪くなっていたのが大きいと思います。
行動食もジェル系のクリフショットは凍っていました。しかしこれは事前にわかっていたので肌に近いポケットに入れ解凍。
凍らないと思っていたショッツも若干硬くなっていました。 想定外だったのは、ワンセコンドが凍った事です。

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ショッツのカプチーノ味にはカフェインが入っており、ここ一番で注入します。
私は体質的にカフェインが効きやすいので、かなり効果を実感できます。
コーラ味は普通に美味しいです。 個人的に美味しいのは、ショッツのコーラ味と、クリフショットのチョコレート味です。

トラバースの途中、影アコンカグアが見えました。

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グランカナレーターをすぎると、後はガレ場の直登。
稜線に出ると南壁の切れ落ちが見えます。 酸素不足で時折意識が遠退くし、視界も霞むのであまり近寄りませんでした。

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そしてついに登頂!
全てが報われました。 気持ちの高揚もあって、息が続かず死ぬかと思いました。
快晴で風もそれほどありませんでした。

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1時間ほど誰もいない山頂を楽しみ、下山。
グランカナレーター手前で団体とすれ違いができず、30分以上待ちました。
インデペンデンシア小屋で猛烈な眠気に襲われ、ポカポカ陽気もあって1時間弱寝ました。

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テントに戻り、今日中にBCに降りようかとも思いましたが予想以上に疲れが襲ってきたので明日にする事に。登頂の余韻を楽しみながら眠りに落ちました。

12日目
昼前までだらだらと過ごし、撤収。
目が霞んでずっと気になっていましたが、BCに戻ったころには無くなったので一安心です。

BCに戻ると、レンジャー達が食事をしていました。ピザ食べてました!
フリーズドライも十分美味しいですが、ピザには敵いません。一気に下界が恋しくなりました。
もうあとは降りるだけです。 もうカビの生えたパンやチーズも食べずにすみます。

13日目
コンフルエンシアまで10時間ほどあるので早めに出発したかったのですが、トイレが混んでいて11時に出発しました。
行きは荷揚げを頼みましたが、荷下げはまた別料金なので自力でおろす事にしました。

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荷物を無理やりパッキングし出発。
荷揚げしてくれるムーラという動物にもたくさんすれ違いました。

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なんとか日が暮れる前にコンフルエンシアに到着。
体中砂だらけで毎晩シュラフにもぐりこんでいたので、シュラフもだいぶ埃っぽくなっています。

14日目
バスの時間が12時なので、早めに出発します。
草が生えだすと降りてきたと実感します。

最後に、アコンカグアを振り返り、チェックアウト。
長かった登山が終わりました。

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昨年は失敗に終わったアコンカグアでしたが、今回は無事登頂することが出来ました。
Facebookや店頭で応援の言葉をかけてくださった皆様。本当にありがとうございました。

投稿者/小林

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